ぼく、りんたろう | りんたろうと愉快な仲間たち

ぼく、りんたろう

1  初めまして。ぼくは、ジャンガリアンハムスター・ノーマルの「りんたろう」です。

 今年の1月14日、猛吹雪の中、ご主人に飼われていまのおうちにやってきました。


 これからぼくの毎日を日記風にかいてみたいと思います。


 名付け親は、ご主人夫婦の奥さんです。ペットショップで目が合ったとき、ぼくは大好きな回し車に乗って遊んでいました。ぼくは、回し車に乗って遊ぶのが何より好きなので、そのペットショップでも、回し車は10匹くらいいる仲間達の誰よりも一番ぼくが使っていました。そんなぼくをご主人様は気に入ってくれたようです。


 りんは「輪」。回し車の輪(わ)です。たろうは男の子だからだそうです。「りん」だけだと、女の子みたいだからと言っていました。


 でも、だんなさんの方は「のんちゃん」とぼくを時々呼びます。それはただ、語感がいいからだそうです。そんなとき奥さんは怒ります。正直、ぼくはどっちでもいいです。


 話をちょっと戻して、まずは、僕がこのうちに来たきっかけと来た日のことをお話します。


 ご主人夫婦は奥さんのお姉さんが飼ったハムスター(名前はりゅーちゃん・パールホワイトの男の子)を見て、ハムスターが欲しくなったそうです。


 ハムスターを買いに行く日、1月14日は札幌は気象史上でもまれな巨大低気圧に北海道が襲われた日でした。


 雪よりも風が強く、猛烈な地吹雪の中、ご主人夫婦、奥さんのお姉さん、お姉さんの彼氏の4人は家を出ました。視界は真っ白。ただ、「ハムスターを買う」というだけで外に出るのはあまりにも無謀な日でした。4軒ほど、ペットショップを回りましたが、グッズはそろうものの、肝心の運命のハムスターにはめぐり合えません。


 昼間だからか、ハムちゃん達はみんな睡眠中。物色すら困難。4軒目で、なかなかめんこい(かわいい)ブルーサファイアのハムちゃんを見つけましたが、奥さんは買う決め手がみつからなかったそうです。次に向かったペットショップ屋さん。


 行く途中の道は強風のため、電信柱が倒れ、通行止めとなっていたり、これ以上の移動は危険と判断。回り道をして、ここが最後とだめもとで行きました。


結局、そこはお姉さんがりゅーちゃんを買ったいきつけのペットショップだったのです。


 ぼくはペットショップの売り場の真ん中のショーケースにいました。そしていつものように回し車に乗って遊んだり、毛づくろいしていました。奥さんは最初、パールホワイトやブルーサファイアのハムちゃん達を物色していました。すっかり夜になっていたので売り場のハムちゃん達はそろそろ活動的になっていたのです。その時、お姉さんとぼくは目が合いました。


 ぼくは一瞬「やばい」と思いましたが、金縛りにあったかのように動けません。そんなぼくを見つめ、お姉さんは奥さんを呼びました。奥さんは回し車の中で金縛りにあっているぼくに一目ぼれしちゃったようです。どんくさいぼくを「のんきな性格」と思い、こわくて手を出されても逃げようとしないぼくを「人懐こい」と思ったようです。そしてノーマルの割りには色白なぼくの毛色にも・・・。ぼくはまだ赤ちゃんでしたから、そのときはただ、こわかったのです。売り場の店員のおばさんは、同じくハムスターを買いにきた他のお客さんの接客に忙しかったので、奥さんの手の平にぼくを置くとどこかへいっちゃいました。


 でも、ほんというと、ぼくはあんまり人はこわくありません。だって、人間はぼくらに食べ物をくれたり、寝床を作ってくれたり、お水をくれるんです。自然界、まして北海道で、ぼくが生きていくには人間に飼われるしかないのです。ぼくは奥さんの手の平で、おとなしくしていました。時々動いたり手の平をなめてみました。だんなさんやお姉さんの彼氏になでなでされても、噛んだりなんかしませんでした。


 お姉さんのところのりゅーちゃんは噛むんだそうです。ぼくはりゅーちゃんのそんなところを尊敬しています。


 彼はいざとなったらひとりで生きていく強いハムなんだと思います。噛まないぼくをみんなは気に入り、奥さんの「買う!」の一言でぼくの運命は決まりました。


 だんなさんはとっても優しそうだけど、奥さんはちょっと強引でこわいなー、と僕は自分の運命を思いちょっとびびりました。店員さんが用意してくれた箱の中で、ちびってしまいました。


 そんなわけでショーケースの中のみんなとは突然のお別れとなりました。いつもけんかばっかりしているやつら、びびっていつも人間の手にかみつくあいつ、今思うとみんなみんな、いいやつでした。最後に噛みぐせのあるあいつには「そんなことばっかりやってると売れ残っちゃうよ」と、一言忠告したかったけど、そんな時間ありませんでした。ひそかに片思いしていた隣のケースのあの子には最後にかろうじてウィンクできました。奥さんが最後にもう一度ショーケースに戻してくれた時に・・・。そうして、ぼくは580円でいまのおうちに買われてきました。


 帰りの車の中で少し眠ったので気づいた時はもう家でした。


 何もかも新しいぼくだけのおうちです。これからどんな生活が待っているんだろう?


 それからこれまでいろいろなことがありました。奥さんやだんなさんとの生活は思ったより、楽しくて、今は満足しています。ちっちゃかった身体もずいぶん大きくなったと思います。


 ぼくの日記、不定期で掲載するけど、ハムスターの考えていること、興味のある方は暇つぶしにでも見てくださいな。あ、でもぼくはパソコンを打てないので口頭で奥さんに打ってもらっているの。奥さんの検閲が入っているから、本音ばかりとはいえないなぁ。これからもよろしくね。


 りんたろう


 奥さんより:

 りんたろうがこのうちにきて、まだ1ヶ月とちょっと。でもりんたろうは我が家になくてはならない存在となりました。けっこう好き嫌いがあって、最近は性格も少し頑固になりましたが、元気いっぱいで回し車をこよなく愛するりんたろうを私と夫は子供のようにかわいがっています。彼に癒されています。

 これから彼のかわいい写真も少しずつアップしていきます。ハムスターを飼えない方は写真だけでも癒されると思います。これからもこのページに遊びにきてくださいね。